
下呂

「ふぅ、やっぱり気持のいいもんだな」
『温泉なんて久しぶりやわいね、でも何故にこんな場所なの?』
日本三名泉の一角を担う下呂温泉である。
水明館や紗々羅を筆頭に有名旅館が数多存在する。
916が損壊した状態故にマスターが如何にして今日のツーリングに出るのかという104氏の心配も杞憂に終わった。
待ち合わせの時刻である朝8時に待ち合わせ場所である<<Joke at the time>>の前に104氏は愛車のSR400で乗り付けた。
『うむ、誰もいないやわいね・・・』
そう呟いた104氏はあわや待ち惚けか?と15分ほど戦々恐々としていた。
さらにそこから幾分経ったころ・・・
バッ バッ バッ バズンッ・・・
周辺環境の空気を揺るがすことに吝かでない排気音と共にマスターが見慣れぬバイクに跨ってやってきたのである。
遠目にその姿を確認しながらも104氏にはその車種が何であるのか全然知れなかった。
みるみるうちにその姿が近づいて・・・
バズッ バズンッ バズッ バズッ・・・
動悸が激しくなる様な空気砲を吐き出しながらマスターが自前の屋号看板の前に停車した。
「おぅ、早いな、待ったか?」
『待ち惚けやったやわいね!』
意匠を凝らしたパイプワークを見せるメッキフレーム、
トップブリッジの随分と下に低く構えたセパレートハンドルはマグラ製だろうか?
フレームと同じ様な雰囲気を醸すデザイナチックなステップもかなり後退しておりおよそ楽なポジションはとれそうもない。
渋みのあるビリジアンに塗られたタンクは極端に細く長い。
『なんというバイクやじ?』

「何言ってんだ? SR500だろ」

『へっ?! ・・・あ、確かにエンジンがSRやわいね!!』
104氏がエンジンに目を向けると・・・成程確かにSRエンジンがそこに在った。
YAMAHAの刻印も確認出来る。
「これはな、OMC−SRってんだよ」
そう言うマスターの表情は朝日を背後より受けて窺い知れない。
「ハイテンションスチール鋼パイプフレームにアルミタンク、フロントフォークアッシーはチェリアーニ製だ、マフラー俺が作った」
やっと知れたマスターの顔はにんまりしていた。
「久々のツーリングなんだ、がっかりさせんじゃねーぞ!」
こうして下呂ツーリングは始まったのだ。